がくちょうです。
私は結構売り上げとかに興味が薄いタイプで、
- いくら売り上げた!とか
- 会員数やフォロワーが増えた!とか
をやたら押し出している人を見てもあまり興味がわきません。
じゃあ何に興味があるのという話ですが、理由は分かりませんが私は昔から
なんの課題に取り組んでいるか
という話にすごく興味があります。
起業家には2タイプいて、そういうビジネス的な実績(売り上げと規模とか)に興味が強い人と、課題に興味が強い人がいます。私は圧倒的に後者。
だから同業者に会っても、
どんな実績がある人か
ではなく、
どんな課題に取り組んでいるのか
にすごく興味があるし、そういう視点が無い相手だとちょっとがっかりというか、
「あぁ、、、そっちの人か」
みたいな感じで相手に興味が無くなったりする。w
課題とはどういう構造になっているのか
起業家が取り組む課題というのは、いろんな視点があると思います。
例えば私が起業して最初の5年間で取り組んでいた主要な課題は
「労働環境の自由選択度」と、「仕事のやりがい」の二律背反を乗り越えられないか
というものだったと表現できます。
簡単に言い換えれば、仕事内容にわがままを言って、好きなことや、やりたいことをやろうとするほど、労働環境(収入や労働時間などの働くに付随する条件)を自由に選択しづらくなる、という現象のことです。
例えば、私は1日2時間くらいしか働きたくありませんし、それでちゃんと収入も得たいなと思っています。で、これだけなら実現する方法はいっぱいあるんですよね。(うまいこと楽に稼ぐ方法なんて、実はいっぱいあります)
でも、この労働条件という要件と同時に、「仕事内容も好きに選べる」というのを加えると、一気にめちゃくちゃ難しくなります。
「好きなことやって、好きな時間だけ働いてるのに、欲しいだけ稼いでる」というのはめちゃくちゃ難しい。
何故かと言うと、人によって「好きなこと」が全然違うからですね。
だから、私は「楽して小銭稼いで生きていく方法」じゃなくて、「みんなが各自それぞれ好きだと思えることを→ハンドリングしやすいビジネスモデルに変換する方法」というのを生み出さないといけませんでした。
5年かかりましたが、それを生み出したからこそ、私の知見や技術には価値があるし、他には真似しづらい専門領域になっているわけです。
このように、イノベーションや革命的な改善という視点だと、この「二律背反を乗り越える」という考え方が参考にできます。
現在取り組んでいる課題だと、
「複雑なスキルを習得できる行動変容威力」と「安価で大量の人に提供できるスケーラビリティ」の二律背反を乗り越えられないか
という風に表現できます。
20世紀型の教育モデルは、必要な知識を順番に覚えさせた後に、ひたすら反復練習させることでスキルを身につけさせるというものが一般的でした。
単純で、誰がやっても同じような正解に辿り着けば良いようなスキルだと、このやり方はとても優秀で機能します。
歴史をたどれば、この教育モデルは18世紀の産業革命と植民地政策あたりが期限になると考えられていますね。
同じようなことができる人材を、効率よく大量に輩出するための仕組みです。
ただ、情報化社会に突入してからは、人間に求められるスキルが変化してきて、この教育モデルでは身に付かなくなってきている状態です。
想像してみてください。
「リーダーシップ」というスキルが、知識の暗記と反復練習で身に付くでしょうか?
「イノベーションと事業創造」だと、どうでしょう?
まぁ無理ですね。
私はそれに気づかず、数年間にわたって自分が扱っている「事業創造」という領域において、「暗記と反復練習」のような教育モデルで指導を行っていました。
でも、そもそもほとんどの人が、知識の手前に
- 学習の仕方
- 物事の捉え方
- 考え方や世界への接し方
の部分がズレていたり、整っていなかったりするわけです。
起業コンサル系の人たちは、これらを「マインドセット」とか「あり方」みたいな抽象的な表現でごまかして、
- あなたはマインドセットがダメよ
- 最後はマインドセットなのよ
とかなんとか言って、どうにか相手を変容させようと頑張っていたりします。
ただ、正直このマインドセットを変えるというのは、知識を伝えて反復練習させるような単純なものでは無いんですよね。
相手と向き合い、相手の行動パターンを一緒にメタ認知したりして、的確な質問と、行動示唆によって少しずつ変容していくしかありません。
そういうのを、コーチングとか認知行動療法とか呼んだりします。
で、私は思いました。
複雑なスキルが習得できるようになるための、マインドセットや行動習慣の変容効果が高い施策(コーチングとか認知行動療法とか)って、スケーラビリティが無いなぁ
と。
だから私は、2017年頃からはその課題に取り組み始めました。
マインドセットや行動習慣の変容効果が高いのに、スケーラビリティもある(安価で、かつ大量の人に一気に提供できる)仕組み
というのが、私が現在取り組んでいる二律背反課題というわけです。
世界を解き明かし、社会を変革する
1つ目の課題に取り組むために、私は
- ビジネスとは何ぞ
- 稼ぐとは何ぞ
- お金とは何ぞ
- 事業とは何ぞ
- 経営とは何ぞ
みたいなことに、非常に原理的な側面から理解しなくてはいけませんでした。
研究対象についての深い知識と洞察以外に、課題の解決に迫れる武器はありません。
2つ目の課題では、
- 行動とは何ぞ
- 習慣とは何ぞ
- 考え方とは何ぞ
- 成長とは何ぞ
- 学習とは何ぞ
みたいなことを、めちゃくそに勉強したり仮説検証したりしました。
知っているだけではダメで、それをどうすれば社会に実装できるか?という視点で実際にサービスをリリースし、人を巻き込み、テストしながら要点をつかんでいく必要があります。
私は、だからビジネスが好きなのです。
ビジネスは私にとって、世界を解き明かし、社会の変革に参加するための手段です。
できるだけ長く、新しくて面白い課題に取り組み続けたいものです。